「デザインソフトといえばAdobe!」だったのも、今はもう昔。
ベジェ曲線やアンカーポイント、ハンドル操作に悩まされることなく手軽にデザインができるソフトがいっぱいあります。
つまり、難しいソフトの操作を覚えなくてもデザインができるということで、それは“デザイナー”と“非デザイナー”の境界が曖昧になりつつあるということ。
ここで“いいデザイナーとはいったいどういうデザイナーなのか”、“いいデザインをするにはどんなスキルが必要なのか”を考えてみました。
いいデザインとはいったい何なのか
別のブログで「いいデザインとは課題を解決できるデザインである」ということを書きました。
たとえば包丁は、食材を細かくしたり皮を剥きたいという課題を解決するためにデザインされているので、切れない包丁は包丁としての役割を果たすことができません。
つまり、包丁のデザインとしては不完全ということになります。
同様に、情報や感情が正しく伝わらない広告デザインは、広告としての機能を果たせておらず、広告としていいデザインとは言えないのです。
デザインは“見た目”の良し悪しだけではなく“機能性”で判断されるべきなのです。
では、いいデザインをするためにはどんなスキルが必要なのでしょうか。
表現するスキル
まずは表現力。
デザイナーに必要なスキルとして第一に挙がるであろう、いわゆる“センス”と呼ばれるものがこの“表現するスキル”に近いのかもしれません(近い≠同じと思っています)。
“センス”というのも捉え方の難しい言葉で、いつかこれについても書いてみたいなと思っていますが、今回はひとまず置いときます。
目的と意図を持って表現するのが“デザイナー”
一言で表現と言っても、絵画や写真など視覚的なもの、音楽や言葉など聴覚的なもの、その種類は様々です。どれもデザインをするうえでは不可欠ですし、その方法も多岐にわたります。 ただし、どの表現においてもデザイナーとしては絶対に忘れてはいけないことがあります。
それは、デザインには表現をする目的や対象が存在するということ。
つまり“だれにどう伝わるか”まで計算しなければならないということです。 これはアートとデザインの違いとも言えるのかもしれません。
デザイナーに必要なスキルのひとつ目は、“目的を持って、意図を持って表現するスキル”です。 言葉でも、レイアウトでも、色使いでも。
ただ“表現する”のではなく“目的と意図を持って表現する”のが、デザイナーに必要な表現力なのです。
分析するスキル
次に“分析力”です。
これはデザイナーとしては見逃されがちな、デザインの土台となる重要なスキルだとぼくは思っています。
クライアントの言葉の奥を分析する
例えばクライアントから集客のためのチラシデザインを依頼されたとします。
クライアントからの依頼なのだから集客を目的としたチラシを作ればいいのですが・・・
本当にそれでクライアントの悩みが改善・解決されるのでしょうか。
いまそのクライアントに必要なのは本当に集客なのでしょうか。
集客するために最適な方法が本当にチラシの配布なのでしょうか。
この「本当に?」というような深堀り・分析が、いいデザイナーとそうでないデザイナーの分かれ道だと、ぼくは考えています。
表面的な課題と“真の課題”
クライアントが感じている“集客が必要”という課題は、たしかに大切な課題です。
しかし、これはあくまでも表面に出てきた課題であり、それを解決するための“真の課題”はその奥に潜んでいる場合があるのです。
「頭が痛いです」→「じゃあバファリン出しときますね」
こんなお医者さんじゃ安心できません。
どんな風に痛いのか、どんなときに痛いのか、痛いのは本当に頭なのか・・・ちゃんと聞いてほしいと思いませんか?
だからクライアントからの言葉をそのまま鵜呑みにせず、しっかり掘り下げて、分析してみる必要があるのです。
真の課題が見つけられていなければ“いいデザイン”はできません。目的がズレてしまうのですから。
「それはデザイナーの仕事ではないのでは?」という人もいるかもしれません。
でもぼくは、そこを考えられない人間がいいデザインをできるとは思えないのです。
聴くするスキル:対話力
さて、じゃあ分析するためにはなにが必要か。そう、ヒアリングです。
聴く力です。
デザイナーのヒアリングとはなにか
「どんなデザインがお好きですか?」
これはデザイナーがやるべきヒアリングではありません。
デザインはデザイナーが決めるべきであり、クライアントに聞くものではないと僕は思うのです。
デザイナーがクライアントに聴くべきことは、クライアントが置かれている状況やその経緯、依頼を通じて望んでいる状況だと思うのです。
その情報をもとに、誰に何をどのように伝えるべきかを取捨選択し、適切に伝えるために最適な表現とその手法をご提案するのがデザイナーの仕事ではないでしょうか。
デザイナーがやるべきヒアリングは、“だれに”、“なにを”、“どのように”伝えるべきかを決定するための情報収集なのです。
良いヒアリングをするために
クライアントの話から真の課題を導き出すためには、見えている課題の本質を探る洞察力と分析力が必要なのは言うまでもなく、それを話していただくためにしっかりと向き合う“対話”の姿勢が必要不可欠です。
対話とは、相手の言っていることを理解し、自分の考えていることを理解してもらうための、“相互理解”のことです。
この“対話力”こそがデザイナーに必須の“聴くスキル”だとぼくは考えます。
(これについても別の機会に考えてみたいと思います)
まとめ
「デザイナーに必要」なんて偉そうに書いてますが、これはあくまでも非デザイン系出身のぼくが、「デザイナーです!」と自信を持って名乗るために必要だと感じているスキルです。
1.表現力
2.分析力
3.対話力
最後のふたつはデザイナーのスキルとしてクローズアップされることが少なく、表面に出てくるスキルばかりが注目されますが、このふたつこそが問題を解決できる“デザイナー”と表面的に整った絵面を作れるだけの“非デザイナー”を分ける重要なスキルだと、僕は思っています。
この3つをしっかり兼ね備えた結果、「狙ったものを狙ったところに、狙ったように伝えるための表現ができる」のが、真のデザイナーであると思うのです。



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